へら鮒釣具 冨田

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竹竿づくりの工程

  • 1.材料採取

    高野竹は標高700mから1000mの場所で広葉落葉樹の下を矢竹は雑草の少ない場所で探し、必ず使えると判断した竹を切り、使えるだけを持ち帰ります。狙いを付けた竹を切り、硬さ、曲がりバランスを確認します。(採取は営林署、県、市、地主の許可が必要です)

  • 2.原竹の乾燥

    私は土の上を避け、陽当たり、風通しの良い場所に三月迄干しています。定期的に張り、硬さを確認して乾燥劣化した竹は廃棄します。乾燥から保管する時も、張り、硬さの確認を行い、竿に使える竹だけを保管します。

  • 3.生地組み

    作る竿の長さ、調子に合わせて物差し、ノギスで寸法確認しながら生地組します。最初に穂持ちから組みます。調子により竹のテーパーも考慮します。

  • 4.火入れ

    カンテキ(七輪)の炭が着火し炎が安定したら竹を入れます。油が出たら布で拭き取り、再度温めて竹が軟らかくなったら、矯め木で矯正します。カンテキに入れる炭の種類、量、火力は作者により様々です。粗火入れを三回、漆塗り、接続後の中間火入れ、胴拭き後の仕上げ火入れを行います。粗火入れで曲がりを伸ばす矯正は、曲がっている箇所に火を当てるのではなく、節間全体を温めます。細分化して火に当てると、炭化度合いに斑が出て、張りにも問題が出ます。

  • 5.中抜き

    火入れ後に竹の節を錐で抜き、仕舞い込める様にします。細い錐を電動で回転して、中抜きします。微調整は長鑢を使います。荷重移動を滑らかにする為に、差し込み穴の終了点から、全体を均一な肉厚になるように鑢で仕上げます。特に節は念入りに鑢で仕上げます。この工程は竹を割ることがあるので、慎重に行います。錐、鑢は沢山のサイズを用意します。

  • 6.下地作り

    作る竿の長さに合わせて、竹を裁断します。節の芽を削り整えて、節の皮を切除して段差を研磨します。芽の窪みにエポキシ樹脂を流して防水性を高めます。竹全体を磨いて汚れを落とします。

  • 7.絹糸巻き

    竹を電動の糸巻き機にセットして、絹糸を巻きます。絹糸は玉口用、穂先のリリアン、蛇口により太さを変えます。玉口は100番撚り糸、穂先先端はスガ糸を使います。100番撚り糸は、多数の銘柄を取り寄せて、細くて引っ張り強度の高い銘柄を使っています。糸質は引っ張り強度の強い糸を理想とします。

  • 8.漆塗り

    漆は糸止めに伊勢、中塗り以降は黒、色漆を使用。巻いた絹糸に漆を塗り漆むろで乾かします。湿度70%、温度20度を目安にむろに水を打つなど加温します。糸止めは、巻いた糸の際に細いひげで線を引きます。その後水研ぎ、漆塗りを繰り返し、研いだ後に光っている箇所がなくなったら終了。芽は百面相筆で描きます。

  • 9.握り

    新聞紙を台形に裁断して、竹に巻いて形を作ります。塗り握りのクラック、綿糸握りの綿糸が開かないように、新聞紙に和紙を巻いたり、エポキシコーティングを行います。

  • 10.穂先削り

    火入れ、削りを繰り返し、曲がりバランスを確認します。真円になるように削ります。

  • 11.接続

    使用時に抜けにくく、玉口割れを防ぐ観点から、差し込みが穴全体に当たる穴を開けます。穴の面を作る錐は柳葉、点で削る錐は葉錐を使います。錐の次に鑢を使い、込み穴全体の段差を削りながら、規定の差し込み寸法に仕上げます。差し込み終了点は荷重移動を考えて、入念に段差を削ります。

  • 12.銘入れ

    焼き印、手彫りで銘を入れます。長さ等は手彫りで入れます。破損防止の観点から焼き印、手彫り共に浅く入れます。焼き印は焦げに注意します。

  • 13.胴漆塗り

    胴拭き前に研磨剤で竹、漆を塗った部分を光らせます。次に伊勢漆を塗り、モス(絹の布)で拭き取ります。節の段差、芽の窪みに拭き残しがあると、色が付くので注意します。二回目から六回目は朱合い、七回目は伊勢を使います。伊勢は飛びにくく、朱合いは肉厚感を生みます。

  • 14.仕上げの火入れ

    竿を接続して曲がりを確認します。曲がっていたら、火力を落とした柔らかい火で修正火入れを行います。漆を傷めないように注意します。

  • 15.栓作り

    玉口に合わせて竹、木材で作ります。私は竹をはめ込んだ栓を切り出し、鑢で作った栓を使っています。栓は作者の拘りで、お客様に誠心誠意を込めた証になります。

  • 16.特注秘伝仕様

    錐、鑢加工を入念に行った次に、竹の内側に漆を塗ります。漆を塗ることで、竹を内側から補強して竿の張りがまします。

竹竿のお手入れ方法

使用前

差し込み寸法の確認を行い、差し込みが浅い時、竿を継いで振ってカタカタと音がする時は差し込みに蝋をぬり、再度差し込んで玉口内側に蝋を行き渡らせます。蝋を塗った状態で差し込みが浅かったりカタカタと音がする時は込み調整に出して下さい。各部の曲がりを確認して、曲がっている時は使用しないで、火入れ整備に出して下さい。漆に艶が無くなってきた場合は芽割れの原因になりますから、使用しないで胴拭きに出して下さい。

使用後

道具を仕舞う時は最初に竿を分解して水で濡れているタオルで汚れを拭き取ります。次に乾いたタオルで水を拭き取ります。次に竿の各部を仕舞い込み、栓を閉めます。栓は釣り場の湿度で竹を含めて膨張している時があります。必ず軽く閉めて下さい。無理に押し込むと、玉口破損の原因になります。

保管

保管は直射日光が当たらなく、空調機の風が当たらない場所で、竿を立て保管します。雨中で使った後は栓を三日外して竿の内部を乾かします。直射日光は漆を劣化させます。湿った場所は竿にカビが発生する危険があり、竹が曲がることもあります。竿に油、ワックス、コーティング剤はかけないで下さい。竹は火入れで油抜きを行っているので、油類を塗ることは漆と竹によくありません。

ご注文の流れ

01 お問い合わせ

来店、電話、メールで問い合わせ出来ます。

02 お打ち合わせ

お客様の見たい竿で、長さ、調子、塗りを打ち合わせます。

03 製作

生地組、火入れから始まり、納品迄約4ヶ月の期間をいただきます。
納期は作業状態で変わります。途中経過は来店時にご覧になれます。

04 試釣

私が単独で確認するか、お客様と釣りして確認出来ます。

05 調整

試釣した結果、必要がある場合は調整致します。

06 納品

試釣した結果に問題がなければ、納品になります。

あなたの釣り方や好みに合わせた竹竿を作ります

冨田写真

冨田 信一

1958年生まれ、千葉県習志野市出身。
2013年、前職の役職定年時に、残りの人生は好きなことをしたくて釣具屋を開業。孤舟式の川端氏に師事し、伝統的な竹竿の製法を学ぶ。自身のブランド名『恵一作』は妻の名前の久恵と信一を合わせたもの。現在、お客様と一緒に釣りを楽しみながら、その人に合った竹竿をオーダーメイドで製作しています。

ご注文承ります

オーダー製作

竹竿のほか、道具製作も承ります。

竿掛けセット(万力、二又、竿掛け) / 玉網 / 玉置

修理

道具の修理も承ります。

竿(竹・カーボン) / 万力 / 二又 / 竿掛け / 玉網 / 玉置